「木材・石炭・シェールガス — 文明史が語るエネルギーの未来」

3年前の出版だが、改めて紹介。タイトルは分かりにくいが、再生可能エネルギー導入の議論において無視されがちな問題を提示している。

その第一が「再生可能エネルギーは環境に悪い」という事実の指摘である。再生可能エネルギーの現在の本命は太陽光発電、そして風力発電だが、どちらも1)密度が薄い、2)安定供給ができない、という共通の問題を抱えている。したがって大規模に導入するには大きな環境破壊が伴うい、またバックアップ電源が必要となる。そのコスト負担は極めて大きく、再生可能エネルギーのメリットを帳消しにしてしまう。
また、電気自動車(EV)も電池の生産を考慮すると二酸化炭素の排出量は低燃費ガソリン車と変わらない。そして、自動車の多くがEVになった場合、現在ガソリン税によって賄われている道路の維持管理費の負担をEVにも求める必要が出てくるので、「燃料代が安い」というメリットも失われる。
結局、エネルギー問題を解決する「魔法の杖などどこにもない」という当たり前の結論に行き着く。省エネをベースに、使える技術とエネルギー源を総動員して、ベストミックスを追求し続けるしかない。原発にしても、「現実の世界は、舵手だような深刻なリスクの間のトレード・オフでしかありえない」ことを受け入れ、「リスクと便益の折り合い」をつけるしかない。

ここで提起されている問題を無視した再生可能エネルギー導入論は詐欺に等しいと私は思う。田畑や森林を大規模に破壊して太陽光パネルを並べる「発電所」には断固反対。私自身は、これからも夏は汗を扇風機で飛ばし、冬は厚着で縮こまりながら、ちまちまと暮らしていきます。